友人が数年の闘病生活ののち、亡くなった。
人生を喜び楽しむことに貪欲だった彼女の訃報から、あらためて思い知ったことがある。
それは、「人は先のことをどんなに憂いても、また過ぎ去った事をどんなに悔やんでも、どうすることもできない」ということだ。そして、死というあらかじめ決まっている約束の中で、人ができるのはただ「今という時間を生きる」ということだけだ。
その気持ちを持って描いた絵が「崖」。
人は常に崖っぷちで生きているようなもので(自覚のあるなしにかかわらず。)、今日ののほほんとした時間がいつ途切れるかは誰にもわからない。
だが、そのことを緊迫感のあるもの、あるいは悲観的なものとして捉えたくはない。
崖の下には清らかな水が勢いよく流れている。新しい時間を迎えようとするかのごとく。
そして崖を支える赤い岩盤は年月を経て作られたものであり、それはあたかも、人々の生きようとする強い意志や情熱が、今の私たちに繋がっているかのようにも思われる。
今回の展覧会では、こういった身の回りの風景や自然を題材とした抽象作品(油彩・キャンバス)計10点を展示したいと考えている。
中塩 美知子 NAKASHIO Michiko
呉市出身
《主な個展》
2013・2015・2017・2019 ・2021 ・2023年 楓ギャラリー(大阪)
2014・2016・2018・2022年 ギャラリー・アーティスロング(京都)
2016年 アートスペース銀座ワン(東京)
2016年 ギャラリー・プラネットルージュ (パリ7区)
2018以後毎年 岡アートギャラリー(岡山市中区)
2018年4月~翌年3月 安芸高田市立八千代の丘美術館
2018・2019年 ギャラリー・ベルタンポワレ (パリ1区)
2021・2022年 ギャラリーG(広島市中区)