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【ひろしまアニメーションシーズン✖️ひろしまアートシーン(レポート:2)】『やまなし Mountain Stream』山本浩二原画展「クラムボンってなんじゃろ?」

今年から開催されるアニメーションの映画祭「ひろしまアニメーションシーズン2022」。

2022年8月に開催されるひろしま国際平和文化祭の中のメディア芸術部門のメイン事業として8/17(水)-8/21(日)まで開催され、今年がその1回目。
育成し学び合う「アカデミー」、表現を競い合う「コンペティション」、顕彰や評価を行う「アワード」の3本柱で実施され、
アステールプラザや横川シネマ、映像文化ライブラリー、galleryGほか市内各地に展開します。
市民・県民の皆様や国内外から広島を訪れる方々に、豊かなアニメーション文化に触れる機会を提供し、
アニメーションを含むメディア芸術をフィーチャーした各種企画を通じて次世代の育成につながるものとしてスタートします。

そしてこの度、ひろしまアニメーションシーズンのイベントのレポートやインタビューなどを行い、
ひろしまアートシーンならではのコラボレーションを行うこととなりました。
ひろしまアートシーンのメンバーが交代でさまざまな記事をお届けします。

レポートの第一弾は2本立てでお送りいたします。
2本目の記事は4月12日(火)〜17日(日)gallery Gで行われたひろしまアニメーションシーズン2022開催記念『やまなし Mountain Stream』山本浩二原画展「クラムボンってなんじゃろ?」のレポート。
レポーターはgalleryG、松波静香さんです。

宮沢賢治の『やまなし』は、国語の教科書に掲載されていることもあり、ほとんどの人が一度は読んだことがあるのではないでしょうか。「クラムボンってなんなん?」というモヤモヤを心に残したまま、それでも特に読み返すこともなく、いつの間にかほとんどの部分を忘れて、梨がおいしそうだったことや川の中で小さなカニが泡で遊んでいる光景ぐらいしか覚えていない方も多いでしょう。(私がそうでした。)

この『やまなし』がアーサー・ビナードさんの翻訳と山村浩二さんの絵でバイリンガル絵本『やまなし Mountain Stream』として出版され、この度、ひろしまアニメーションシーズン2022の開催記念展として、広島市中区のgallery Gで原画展が開催されました。
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原画は水溶性色鉛筆とインクで描かれた、柔らかく繊細な画面からは、印刷物となった絵本とは違う原画ならではの味わいを感じることができます。細部の技法や表現を観察しようと、顔を近づけてじっくりと鑑賞する来場者の姿が印象的でした。

また、原画を見ながら「カニがかわいい!」「魚が怖い!」「絵本と原画は色が違って感じるね」「この部分の描き方がすごいね」など会話が弾んだあと、「ところでどんな話だったっけ?」と改めて絵本を読み始められる方も。あの「クラムボン」が登場し、読み進めると突然現れる不穏な「死」の雰囲気。私のように小学生時代に読んだきりだった来場者の方の中には、子供のころには感じられなかった意味や深みを見出す瞬間があったようです。何度読んでも謎が残り、逆に何かを発見したような気分にもなる、魅力的な絵本です。

ギャラリーから外を眺めると、池の向こうにケヤキの木立があり、そのまた向こうにゴトゴトと路面電車が走ります。この展覧会期間のあいだに、ケヤキが一気に芽吹きました。新緑は瑞々しく、木漏れ日が池の水面に反射して天井や壁にキラキラ揺れていました。夜のギャラリーは幻灯機のように暗がりで光る箱になり、まるで、絵本の中と現実の世界が繋がっているような空間となりました。

 

また、展覧会場では、山村さん自身が所蔵する古い幻灯機やガラス板が展示されました。幻灯機がどんな場面でどうやって使われていたのか、ガラス板の絵にはストーリーがあるのか、アニメーションやスライドの起源はどんなものだったのか、など様々に思いを巡らせていました。

2階では比治山大学短期大学部とサニクリーンアカデミーが共同で開発した「ぴかぴかランタン」に実際に触れて遊ぶことができました。幻灯機を初めて見て珍しそうにしている方や、「懐かしいね」と目を輝かせている年配の方もおられました。

また、アニメーションシーズンのコンペティション選考委員4名の作品も上映され、子供から大人までじっくりと鑑賞してくださっていました。

galleryGでは、これからもひろしまアニメーションシーズン開催記念展が予定されています。次回は、ひろしまアニメーションシーズンのひろしまアーティスト・イン・レジデンスとして広島に滞在する3名の紹介展「Hello!ひろしま」が5月31日(火)〜6月5日(日)に開催されます。
(展覧会詳細はこちら

是恒さんはすでに広島でレジデンス滞在をしながら、作品制作のためのリサーチを開始しています。この紹介展では、過去作品を鑑賞できるとともに、新たな作品が生み出されていく過程を垣間見ることができるかもしれません。ぜひ会場にお越しください。

 

文 / 松波静香

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