【会期追加】篠藤 碧空:湯治 その他の会場(広島県内)|non-registered venues

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【会期追加】篠藤 碧空:湯治

2024.7.13 sat - 2024.8.5 mon

11:00-16:00

開場日:2024/7/13(土)、15(月)、20(土)、21(日)8/4(日)、5(月)

この度江波プロジェクトは、アーティスト・篠藤碧空による個展「湯治」を開催します。篠藤はこれまで一貫して、自身の持つ不死願望に基づいて制作を行ってきました。篠藤にとって制作とは、単なる自己表現として以上に切実に不死を願うための儀式的なセルフケアであり、民間信仰に基づいた呪術的儀礼から自身の生存を脅かす社会情勢までの広範囲の領域に言及しています。

会場|〒730-0836 広島県広島市中区江波栄町11-24 下脇ビル1F

会場へのアクセスは以下をご参照ください。

◼︎バス

広島電鉄 市内バス6号線 「江波南2丁目」で下車、徒歩3分

◼︎路面電車

広島電鉄 6/8号線 江波行 「江波」で下車、徒歩20分

◼︎車

広島高速3号線 吉島出口から車で8分

※駐車場は近隣のコインパーキングをご利用ください。

主催|広島市立大学地域展開型芸術プロジェクト
https://www.instagram.com/bathroom_hiroshima/

湯治とは、温泉地に逗留しながら行う温泉治療です。治療技術の発展は人類の平均寿命を飛躍的に延伸させました。湯治は温泉の効能を利用した治療の手段として伝えられており、不死を渇望する篠藤がその行為に興味を持ったのは必然といえます。今回「湯治」の舞台となるこの場所は、かつて葦の湯という名の銭湯として知られていました。本展のために制作された作品たちは会期中、人々が不在の間もそこに滞在し続けています。それはまるで作品が湯治を行っているようで、作品を通した間接的な湯治的行為の実践にもみえます。

 呪詛や魔物、神が災いをもたらすと考えられていた時代、人々は自らの身代わりとして人の形をした形代を作り、病や呪いなどの穢れを肩代わりさせる呪術的アプローチを行いました。穢れを遠ざけるために形代を水に流すこともあります。篠藤の祖父によれば、かつて十人組(1)での葬式の帰りに銭湯に行く習慣があったそうですが、これは物理的な汚れのみならず死に接したことで生じた穢れを流し清める意味もあったのでしょう。一方で、穢れを流し込まれ、受け止める器としての水の性質からか、幽霊が浴室をはじめとする水場に集まりやすいという言説もあります。浴場は生者の穢れを祓うと同時に死の穢れをまとった幽霊を呼び寄せる、生と死を越境する地点に位置しているといえます。

 篠藤は浴場という特殊な場をアートの力を利用して規定し、不死の実現性の検証と裏付けを試みています。死を恐れ、不死を獲得しようともがくアーティストの試みは、人類が築き上げてきた死との戦いの歴史とリンクしていくのではないでしょうか。

1)十人組:篠藤の祖父が住んでいた地域で、葬儀執行のために地域の家々で構成される共同体。かつての日本では死人が出たとき、このような地域の共同体で葬儀を準備していた。


篠藤 碧空 / Sora Shinoto

 1999年広島県に生まれる。自身の持つ不死願望をもとに、インスタレーション・彫刻・パフォーマンスなどさまざまなメディアで作品を展開する。近年は、自身の出生地や葬送儀礼に関する民俗学的なリサーチも行う。

 主な展示に個展「Spring BLOOD, Dancing MEAT, And BONE too.」(オルタナティブスペースコア、広島、2021)、「ARTS CHALLENGE 2022 入選作品展」(愛知芸術文化センター、愛知、2022)、「第26回広島市立大学芸術学部卒業・修了作品展」(広島市立大学、広島、2023)など。

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