今野健太「えらない人」 【閉廊|Closed Down】広島芸術センター|HIROSHIMA ART CENTER

【閉廊|Closed Down】広島芸術センター|HIROSHIMA ART CENTER

今野健太「えらない人」

2022.12.3 sat - 2022.12.11 sun

13:00〜18:00

協力:HARMAS GALLERY、K.N. collection

※感染症拡大防止のため、オープニング・パーティーは開催致しません。ご来場の際は、マスクの着用、手指の消毒をお願い致します。また、必要に応じて入場制限を行う場合もあります。

ご挨拶

 この度広島芸術センターは今野健太個展 「えらない人」を開催致します。今野は現在広島を拠点に活動するアーティストで、石や植物の繊維を素材とした彫刻作品を制作しています。
 今野は長く石を素材とした彫刻作品を手掛けてきました。近年は、様々な逸話や神話、また自身の実践を通して、人類が古代より続ける「人の姿を石という恒久的な素材に彫刻し残す」という営みついて思索し、作品を制作しています。人間という有限の存在、地球から掘り出される恒久性のある石という材料、今野の関心の一つは、この両者の対照的な尺度の時間にもあるようです。このような思索の過程で、今野は植物の繊維を作品に取り入れるようになっていきます。
 本展のタイトル「えらない人」は、「石」と「バナナ」が登場するインドネシアの神話からインスピレーションを得たもので、同名の作品が本展でも展示されます。今野の広島での初めての個展を是非御覧ください。

 本展の開催に際しご協力頂きました、HARMAS GALLERYとK.N. collectionにこの場を借りてお礼申し上げます。


アーティストによるステートメント

えらない人 

/ 択らない 彫らない 撚らない 得らない

古くより石を使った彫刻には、その耐久性から個人が生きる時間を超えた未来や過去への繋がりを求めているものが多くあります。私自身、おごりとは理解しながらエジプトやギリシャ彫刻、石器時代の岩偶に人間の営みとしての連続性を感じつつ作品が遠い未来の目に触れることにも微かな希望を持って制作をしてきました。

石が象徴する恒久的なイメージと相反して人間はもろく、永遠とは程遠い存在であることを今を生きる私たちも日々思い知らされているように思います。
私は石の彫刻が持つ、永遠や恒久に憧れつつ有限の中で生きてきた人間の揺らぎや蠢きのようなものに関心があります。

今回の展覧会タイトルにもなっている「えらない人」は、インドネシア神話から派生したといわれる「バナナ型神話」から着想を得ています。
様々な地域に残るその類型説話の中には、人は示された選択肢の中から「石」を選ばなかったことで永遠の生を失って死ぬことになったという話がいくつもあるそうです。
私は近年この「石」を選択しなかった人間に興味を持ち、永遠性を願望する石の彫刻に循環を象徴する植物繊維を撚って組み合わせる事で、求め続けつつもなお永遠を得ることのできない人間を現すことを試みています。

古い技法ではありますが、石彫には現代の人間を表現する事が出来る可能性がまだあるのではないかと考えています。

今野健太

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