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ねみの日記 #03(2022/3/21)

久保田音美(広島市立大学国際学部3年)が
広島でアーティストやギャラリーの人々に
出会っていく体験日記

この日は、市内で17:30までバイトをしてからオルタナティブスペースコア (コアと呼んでいる)で行われていた展示を見に行った。

コアは基町ショッピングセンターにある文化活動のための多目的スペースいつも開いているわけではないため、見に行きたいと思いながらも行く機会がなくコアに行くのは初めてだ。今回の展示はShutie(シューティー)さんの個展 ”とんちんかんず BE AMBITIOUS”だ。

展示風景

わたしは元々グラフィティやストリートには興味があった。けれどこれまで接点がなかったので、Shutieさんのお話しや展示の空気感が新鮮で、とても楽しかった。

18:00ぐらいにコアに着き、まずはその人だかりにびっくりした。普段の基町ショッピングセンターでもストリート系の人や家族連れ、若い人は見かけるが、その日はどこからこんなに集まってきたのかと思うぐらい多かった。その中で誰も知り合いがいない私はかなり怖気付いた。そんな気持ちを抑えてスペースへ入ろうとしたら、Shutieさんが「こんにちは~」とさりげなく声をかけてくれて、ほっとしたのを覚えている。そのまま展示作品をゆっくり見て、机に置いてあったShutieさんのキャラクターたちのメモがたくさん描いてあるノートもじっくり見た。デフォルメされた、今にも飛び出してきそうな、見ているだけで元気になるキャラクターたちにたくさん会えてとても楽しかった。

「これはどんなキャラクターなんですか?」と聞かれたShutieさんが、「この子はね…」と詳しくその子の性格や種類などを説明していたことが印象に残っている。ひとつひとつのキャラクターに対して本当に愛を持っているんだなとほっこりした。そう思うとますます、キャラクターたちが生き生きとして見えた。

私が訪れた日は個展の最終日で、シルクスクリーンイベントを行なっていた。シルクスクリーンを刷るのは松田葉朗さんというシルクスクリーンプリンター/グラフィックデザイナー。わたしは、シルクスクリーンにも興味があったので葉朗さんにくっついて色々教えてもらった。どこから来たかもわからないわたしに機材やちょっとした作業のコツを丁寧に説明してくれて、最後には一回刷らせてもらった。人生初のシルクスクリーン!とても嬉しかった。

手伝ってもらってはじめて刷ったキャラクター
はじめてのシルクスクリーンに緊張中
(左から葉朗さん・わたし・SHUTIEさん)

ちなみにわたしのパーカーには「スカル」を刷ってもらった。縁の下の力持ちで、みんなを支えている子だそうだ。わたしもアートマネージメントを学ぶことで、アーティストやアートを楽しむ人を支えられるようになりたいなと思う。最初は知り合いがいなくて戦々恐々としていたが、幸いにも大学で仲良くさせてもらっている桺谷悠花さんも展示に来ていたので、2人で話しながら最後まで展示を楽しむことができた。

シルクスクリーンで使うインク
混ぜて欲しい色味に近づける
版の掃除は長持ちの秘訣らしい
刷った後の版

〈余談〉

その日は基町ショッピングセンターで別のイベントも行われていた。

Shutieさんの展示には最後の時間まで居座り、基町にある焼肉屋でご飯を食べたあと、コアの近くにあるPEACEという古着屋の深夜営業へ行った。DJが流す曲を聴きながら、お酒を飲んだり話したり、服を見たりしていた。深夜営業には前回も行ったことがあり、普段からPEACEにはよく遊びに行っている。

PEACEの店主の石井さんはとても気さくで服やカルチャーについて惜しみなく話してくれる。会うたびに新しい学びもあり、服もいい。わたしのお気に入りの場所であり落ち着く場所だ。深夜営業にはいないが、普段の営業ではお店の前で保護した2匹のねこちゃん(ラブとカブ)にも会える。猫好きも要チェックだ。

広島にあるギャラリーや古着屋に行くようになって、そういった場所のいい意味で「ユルい」部分がわたしはすごく好きになった。知り合いがいなくても、すこし勇気を出せば入っていけるし、素敵な人たちに多く出会える。入り浸るだけなく、抜けたくなったら気軽に抜けられるのもいい。家庭や学校以外にそういった場所を見つけることができてよかったなと思っている。そこで生きているひとたちを見ると、こんなユルさでいいんだなと、わたしもこうやって生きていたいなと感じる。そこにいる人たちの服装や楽しみ方も千差万別で、自分の好きなことを見つけ、楽しみ方を知っている人は魅力的だ。ファッションや音楽、アートを通して新たな場所とコミュニティを発見する楽しさを伝えられるような記事を書き続けたいなという願いをこめて、今回の日記はおわり。

基町ショッピングセンターの張り紙 「ドロボ猫」

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